環境移行パラメータの取得
及びサブモデルの構築に関する調査

青森県産物放射性物質移行調査

再処理工場の稼働により放射性炭素14C)や放射性ヨウ素129I)が排出されます。これまで、放射性炭素の農水産物における環境移行モデルの構築や放射性ヨウ素に関するパラメータを求めてきましたが、経済的にも重要な青森県産物である果樹や海産物への放射性物質の移行については分かっていない点が多くあります。更に、異常放出時には放射性セシウム放射性ストロンチウムの放出も考えられ、そのような事態に備えデータを蓄積することも重要です。

そこで、青森県産物の果樹としてリンゴ、海産物としてヒラメを対象とし、放射性炭素の果樹への移行、放射性ヨウ素や放射性セシウムの果樹への移行・蓄積、放射性ストロンチウム及び放射性ヨウ素の主要海産物への移行・蓄積に関する実験を行い、移行サブモデルを構築するための調査を行っています。

果樹への放射性炭素の移行に関する調査

再処理工場の稼働により大気排出される放射性炭素(14C)は主に二酸化炭素の形(14CO2)で排出され、光合成によって植物へ移行します。実験では屋内でリンゴの幼木を果実の生育段階別に13CO2(炭素13から成る二酸化炭素)にばく露し、各部位への13C(炭素13)移行パラメータを求め、炭素移行・蓄積モデルを構築します。更にそのモデルの検証を行うため、屋外で栽培したリンゴ幼木へ13CO2のばく露実験も行います。

図2.1.3_1

果樹における放射性ヨウ素等のモデルの開発

再処理工場の稼働により大気中に放射性ヨウ素が排出されます。また、事故等の異常時には放射性セシウムが放出される可能性があります。大気中に放出された放射性ヨウ素や放射性セシウムの一部は、果樹表面に沈着し、果実へ移行します。これまでのハツカダイコンや牧草を対象とした調査の結果、植物表面からの吸収や吸収後の植物内での動きについては植物の種類や取り込まれる放射性物質の物理・化学形態により異なることが明らかとなりました。

そこでリンゴの各部位(葉、樹皮又は果実)からの吸収や吸収後の果樹内での動きについて、付着させるヨウ素、セシウムの物理・化学形態別に求め、移行パラメータを取得する調査を行っています。

図2.1.3_3

海産物への放射性ストロンチウム・ヨウ素の移行に関する調査

再処理工場の稼働により放射性ヨウ素が海洋排出されます。また、事故等の異常時には放射性ストロンチウムが放出される可能性があります。東京電力福島第一原子力発電所の事故後のデータでは、放射性ストロンチウム・ヨウ素の海水中濃度が減少した後でも、海産生物体内の濃度が依然として高いという傾向が報告されています。海産生物体内の元素濃縮に関する研究では、ストロンチウムやヨウ素などの濃縮率が高い生物の存在が報告されており、これらを餌として取り込む影響が指摘されていますが、これまで十分な実態の解明はされていません。

そこで、再処理工場稼働時及び異常時に海洋に排出される放射性ストロンチウム・ヨウ素の海産物中の濃度変化を推定可能にするため、ヒラメを対象に海水からの移行や摂食による移行パラメータを実験により求め、放射性ストロンチウム・ヨウ素の移行・蓄積モデルを構築します。

図2.1.3_2