環境移行パラメータの取得
及びサブモデルの構築に関する調査

人体内代謝実験調査

再処理工場の稼働により放射性炭素14C)やトリチウム3H)が排出されます。これらの放射性物質からの被ばくは、農水産物に取り込まれた放射性物質が食事によって体内に入り被ばく(内部被ばく)するため、人体内でどのように動くのか、代謝モデルを作る必要があります。しかし従来の代謝モデルは、人体内での代謝に関するデータが不足しているため、極めて単純化されたモデルに基づき求められています。(参照:人体内での炭素の動きについて)

これまでの調査で、糖質や脂質、アミノ酸といった栄養素それぞれを代表する化学物質に、安定同位体(放射性炭素に関する調査…炭素13 13C、トリチウムに関する調査…重水素 2H)を付加し、人体に投与して人体内での代謝に関する実験を行ってきました。その結果、コメなどの穀類の主な栄養素である糖質では取り込み後に早く代謝排泄され、従来の代謝モデルの評価では被ばく線量に十分な安全裕度を持っていることが分かりました。しかし、脂質やアミノ酸に関しては糖質よりも代謝排泄が遅く十分な安全裕度をもっているとは言えなかったこと、アミノ酸の種類によって代謝排泄が異なることが分かりました。

そこで、脂質やアミノ酸を更に細かく分類してそれぞれの代謝に関するデータを取得し、より高度な人体内代謝モデルを構築するために調査を行っています。

図2.1.5_1

脂質の代謝に関する調査

脂質は大きく分けて、飽和脂肪酸、1価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の3種類があります。肉類には飽和脂肪酸と1価不飽和脂肪酸が多く含まれ、魚類や植物には1価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸が多く含まれています。飽和脂肪酸は人体内で作ることが可能でエネルギー貯蔵に使われますが、多価不飽和脂肪酸は作ることができず、エネルギー貯蔵以外に使われるため、体の中での動きが違うことが考えられます。 これまでの調査で飽和脂肪酸に関するデータは得られており、本調査では1価脂肪酸、不飽和脂肪酸の代謝に関するデータを取得します。

アミノ酸の代謝に関する調査

アミノ酸は人体内では消化管から吸収され、様々なタンパク質の合成に使われています。タンパク質はその種類によって体の中での機能が異なるため、人体内での動きも種類によって違います。これまでの研究で、肝臓に運ばれてエネルギー源として使われる糖原性アミノ酸は、筋肉に運ばれて貯蔵される分岐鎖アミノ酸よりも早く代謝され、体外に代謝排泄されることが分かっています。そこでアミノ酸について、代謝が遅いコラーゲンの主成分となる群、量的に多く使われる重要な群等に分類して、それぞれの代謝に関するデータを取得します。