環境影響調査

環境生態系の被ばく線量評価法の開発

樹木の被ばく線量評価法開発調査

再処理工場の稼働により排出された放射性物質は、人間だけでなく、施設周辺の環境生態系が受ける線量を増大させることになります。これまで、放射性物質や放射線からの防護の対象は人間のみであり、環境は放射性物質の移行経路としてのみ扱われてきました。しかし、近年ではその経路上にある生態系についても防護の対象とすべきであるとされており、再処理工場周辺の動植物を対象とした調査を行ってきました。

再処理工場周辺には広くクロマツが生育しています。1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故では周囲の針葉樹林が枯れて赤い森と言われた森林があったことからも分かるように、針葉樹の放射線感受性は比較的高いとされています。そこで施設周辺に広く生育している針葉樹のクロマツを対象に被ばく線量の評価法に関する調査を行っています。

図2.1.1

クロマツの被ばく線量評価法開発

クロマツの被ばく線量率を計算するためのモデル(ファントム)を作成するため、クロマツの根を含む全量を採取して部位別の形状、重量及び元素濃度を測定します。また、その土壌中の放射性物質によるクロマツの被ばく線量率を計算するために、土壌中の元素組成も分析します。作成したクロマツのファントムと分析した土壌中元素濃度を用いて、クロマツの被ばく線量率の計算方法を確立します。

クロマツの自然被ばく線量率の調査

クロマツの部位別試料及び土壌中の天然放射性物質の濃度を測定して、これらの測定値と開発した被ばく線量率計算用ファントムを使って、クロマツの自然被ばく線量率を求めます。

クロマツ林内におけるヨウ素の挙動調査

再処理工場から排出される放射性ヨウ素は大気排出された後、樹木に沈着し、クロマツの被ばく線量率を増加させます。葉等に沈着した放射性ヨウ素は、降雨や降雪、あるいは落葉等により土表へ除去されるため、葉の被ばく線量率は減少します。したがって、このような沈着・除去過程はクロマツの被ばく線量率を決定する上で重要な因子となります。そこで、様々な実験や野外調査を行い、大気からクロマツへのヨウ素の沈着速度と降雨等による除去速度を明らかにします。