低線量率放射線による継世代影響に関する調査研究

低線量放射線生物影響実験調査(継世代影響・線量率効果解析)

オスマウス低線量率放射線を400日間連続照射した後に交配させて生まれた仔マウス、更に仔マウス同士を交配して生まれた孫マウスを対象として、それらの寿命や遺伝子変異を観察・解析する継世代影響調査を行ってきました。その結果、1日あたり20ミリグレイの低線量率で8000ミリグレイの高線量になるまでガンマ線を照射し、非照射メスマウスと交配させて生まれたオス仔マウスでは、有意な寿命の短縮及び遺伝子変異頻度の上昇が認められました。しかし、死因については非照射対照群との間に有意な差は認められていません。

過去に行われた高線量・高線量率放射線を照射したマウスの実験では、生まれた仔マウスの寿命に差が無いという報告があり、上記継世代影響調査で認められた有意な差が低線量率放射線長期連続照射に特異的な現象であるのか、あるいは実験に用いたマウスの系統差や飼育環境などの他の要因によるものなのか、分かっていません。

そこで、これまでに行った実験と同系統、同飼育環境下で高線量率放射線照射実験を行い、放射線の継世代影響の全体像を明らかにします。

照射条件(mGy---ミリグレイ)

高線量率:1分あたり760mGyのガンマ線を照射(照射時間は10分以内)
低線量率:1日あたり20mGyのガンマ線を400日間照射(1分あたり0.015mGy)

寿命・死因・がん発生に関する調査

これまでの継世代影響調査で使用したものと同じ系統のオスマウスに、高線量率(760ミリグレイ/分)放射線、低線量率(20ミリグレイ/日)放射線を照射し、照射終了後に非照射メスマウスと交配させて仔マウスを得、これら仔マウスを同一飼育環境下のSPF動物室で終生飼育して体重、寿命、死因に関する調査を行います。この調査により、異なる線量率の放射線での継世代影響に関する知見が得られます。

図3.1.1

遺伝子変異に関する調査

当該継世代影響調査で使用した親マウスと仔マウスの尾及び上腕組織をサンプルとして遺伝子解析を行います。遺伝子変異の種類や大きさ、頻度について親子間で比較を行うことで遺伝的変異を明らかにし、さらにそれが照射によってどのように変わるかを調べることで、遺伝子レベルでの継世代影響について評価を行います。 図3.1.2