排出放射性物質影響調査

成果報告会年度別一覧

平成25年度 成果報告会 六ヶ所村開催報告

環境科学技術研究所・日本海洋科学振興財団 成果報告会(無料)

日時・会場

  • 日時:平成25年10月3日(木) 13:30~15:40
  • 場所:六ヶ所村文化交流プラザ スワニー 第1・2大会議室
  • 参加者:90名

実施内容

本成果報告会は、排出放射性物質影響調査を受託している公益財団法人環境科学技術研究所、公益財団法人日本海洋科学振興財団の共催で行われました。

環境科学技術研究所の小野理事長の開会挨拶の後、同所の企画・広報課課長の石川敏夫から、成果報告に先立ち、放射線の単位や影響に関する基礎的な説明がなされました。

成果報告は、前半に放射線生物影響研究について、後半に環境中での放射性物質の動きに関する研究についての内容が発表され、後半部分で環境科学技術研究所、日本海洋科学振興財団それぞれの研究成果が報告されました。

実施内容(2)

前半の放射線生物影響研究に関する報告では、環境科学技術研究所の小野理事長から「環境研における放射線生物影響研究の成果と今後」と題して、寿命試験をはじめとした研究成果の説明と今後の放射線生物影響研究の展開について報告がされました。

後半の環境中での放射性物質の動きに関する研究報告では、最初に環境科学技術研究所から福島原発事故で放出されたトリチウムに関する報告がされました。

久松環境影響研究部長から、トリチウムに関する基礎的な説明や、原子力発電所でどのように生成されるのか、また福島事故ではどの程度の量が放出されたのか説明がされた後、柿内研究員から事故後に福島第一原子力発電所周辺で採取された植物中に含まれるトリチウムの濃度を測定した結果や、それらから空気中トリチウム濃度を推定し最大被ばく線量を求めた結果について報告がされました。

次に海洋科学振興財団から青森県近海域海洋循環シミュレーションに関する報告がされました。

島海洋研究部長から、再処理工場が竣工・稼働して放射性物質を含む液体廃棄物の海洋排出が始まった後に海洋排出された放射性物質がどのように海洋を移動するのか予測するために当該シミュレーションを構築しているとの説明があり、また、海中での物質の存在形態や移流・分散、沈降や再浮遊と言った物質の動きに関する基礎的な説明がされました。続いて印研究員から、青森近海域の海流の特徴や季節変動、コンピュータシミュレーションを作る方法、シミュレーション結果を示し、実測データとの比較から今後の改善点などについて報告がされました。

最後に日本海洋科学振興財団の折田常務理事から閉会の挨拶がなされ、盛況のうちに閉会となりました。

アンケート結果

1.参加者について

参加者 90名
回答数 60名  回収率 67% (内訳:男性 47名/女性 12名)
年齢層
年齢層
過去の報告会参加の有無
過去の報告会参加の有無

2.本報告会を何でお知りになりましたか?

グラフ:開催情報入手方法

開催情報入手方法

3.講演内容について

環境研における放射線の生物影響研究の成果と今後
環境研における放射線の生物影響研究の成果と今後
福島原発事故で放出されたトリチウム
福島原発事故で放出されたトリチウム
青森県近海域海洋循環シミュレーション
青森県近海域海洋循環シミュレーション

4.講演資料について

環境研における放射線の生物影響研究の成果と今後
環境研における放射線の生物影響研究の成果と今後
福島原発事故で放出されたトリチウム
福島原発事故で放出されたトリチウム
青森県近海域海洋循環シミュレーション
青森県近海域海洋循環シミュレーション

5.ご意見、ご感想

(1)全体

  • 興味深い話でした。ありがとうございました。
  • 放射線の単位の意味がよくわかりました。日常生活にあまり怖がる必要がないことが理解できました。
  • 仕方がないのですが、技術的な内容について平易な言葉をつかわれてはと思います。これまでの発表会より資料がわかりやすかったです。

(2)個別

  • 現在、問題となっているトリチウムの問題点(内部被ばくの影響)等について確認することができました。外部被ばくについてはあまり影響がないものと感じました。
  • 放射線の生物影響研究のお話はとても分かりやすく勉強になりました。

(3)指摘を含む意見

  • テキスト内の最初の解説部分の資料で、放射線作業従事者の被ばく線量の20mSv/年について、基準ではなく限度の方が良いと思います。基準だとみんなそれくらい被ばくしていると誤解されると思います。
  • テキスト内の空気中のトリチウム濃度の推定について、植物の水分に含まれるトリチウムの濃度の推定で植物の種類は考慮しなくてもよいのか疑問に思いました。
  • 海域シミュレーションと放射線のつながりがイマイチわかりませんでした。

(4)その他

  • 福島の事故に関して、めったにないような事故だったにもかかわらず植物や土壌等の試料はもっと大規模に大量に採取しておくべきだったのではなかったのかと思います。各原子力施設が放射線もれを起こした時に備えて指標植物をメッシュ状栽培しておくなどの準備も必要ではないのかと感じました。
  • 生物影響研究について、性別による影響の差について、その原因等についても知りたいと思いました。また様々な種類の放射性物質があるが、それぞれの物質による生体や植物の影響の違いも知りたいと思いました。
  • マウスの寿命短縮効果は、非特異的な寿命短縮ですか、またはガンその他の特定疾患の発生の増加によるものですか(人においては非特異的な寿命短縮はないとされているので)?
  • 何故「トリチウム」なのか?トリチウムの人体や環境への影響などの説明がほしかったです。
  • 「海洋循環」について津軽暖流は変動が大きいと認識しています。いろいろ考慮したシミュレーションだと思うが、何かもっと重要なファクタがあるような気がします。

お問い合わせ

(公財)環境科学技術研究所 総務部 企画・広報課

環境科学技術研究所は、六ヶ所村で放射線や放射性物質の環境中における分布や動き、及び低線量率放射線が生物に及ぼす影響に関する調査研究を行っている研究所です。

【電話】0175-71-1240 (受付時間 平日8:30~17:15)
【住所】〒039-3212 青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字家ノ前1番7

平成25年度 成果報告会に戻る