排出放射性物質影響調査

成果報告会年度別一覧

平成27年度 成果報告会 青森市開催報告

環境科学技術研究所・日本海洋科学振興財団 成果報告会(無料)

日時・会場

  • 日時:平成27年10月20日(火) 13:30~15:15
  • 場所:リンクステーションホール青森(青森市文化会館) 4階中会議室
  • 参加者:68名

実施内容

本成果報告会は、排出放射性物質影響調査を受託している公益財団法人環境科学技術研究所の主催で行われました。

環境科学技術研究所の小野理事長の開会挨拶の後、同所の企画・広報課課長の石川敏夫から、成果報告に先立ち、放射線の単位や影響に関する基礎的な説明がなされました

成果報告は、前半に環境中での放射性物質の動きに関する研究成果について環境研の環境影響研究部から、後半に放射線生物影響研究について環境研の生物影響研究部から研究成果が報告されました。

前半の環境科学技術研究所環境影響研究部の発表では、空気中トリチウムのイネへの移行に関する調査結果が報告がされました。

久松理事(環境影響研究部長)からは冒頭に、再処理工場から排出されるトリチウムがわずかではあるがイネに取り込まれ、お米として人間に取り込まれる可能性があるため、トリチウムのイネへの移行について調べていることが紹介されました。続いてトリチウムの基本的な性質やトリチウムから出る放射線とその被ばくに関して説明があり、トリチウムから出る放射線は非常に弱いベータ線であるため、体外にある時には被ばくについてほとんど考える必要はないが体内に入った時は考慮する必要があること、トリチウムが水として体内に入った場合と有機物として入った場合で被ばく線量が大きく違う事が説明されました。その後、谷研究員から、イネに対してトリチウムの代わりに重水素を取り込ませる実験を行い、イネ中のトリチウム移行モデルを作成した結果が報告されました。イネの場合、例えば出穂時(お米ができ始める時期)の前後といった生育段階のどの時期に重水素を取り込ませるかで収穫時の籾中のトリチウム濃度が異なることが紹介され、空気中トリチウム濃度の変化に対応したイネ体内トリチウム濃度の予測が可能な計算モデルを作成したことについて報告がありました。 

後半の環境科学技術研究所生物影響研究部の発表では、マウス造血細胞への低線量率放射線の影響と題し、放射線と白血病に関する報告がされました。

小村生物影響研究部長からは、環境研が進める低線量率放射線の生物影響研究の概要について説明の後、白血病に関しては高線量率放射線を被ばくした原爆被爆者などの調査結果から白血病が早期に発生する事が知られていることが説明されました。その後、廣内研究員からは、低・中・高線量率放射線をマウスに照射し、発生した白血病の調査を行った結果について報告がされました。その結果、線量率が高くなるほど発症時期が早くなること、低線量率放射線と高線量率放射線では白血病を引き起こす機構に違いがある可能性があることが報告されました。

アンケート結果

1.参加者について

参加者 68名
回答数 60名  回収率 88% (内訳:男性 38名/女性 22名/無記載 0名)
年齢層
年齢層
過去の報告会参加の有無
過去の報告会参加の有無

2.本報告会を何でお知りになりましたか?

グラフ:開催情報入手方法

開催情報入手方法

3.講演内容について

トリチウムのイネへの移行
トリチウムのイネへの移行
放射線の生物影響
放射線の生物影響

4.講演資料について

トリチウムのイネへの移行
トリチウムのイネへの移行
放射線の生物影響
放射線の生物影響

5.ご意見、ご感想

(1)好評な感想・意見(全体)

  • 実際に携わっていらっしゃる方のお話ですので、大変分かり易かったです。自宅に資料や録音した音源を持ち帰り、復習したいです。有難うございました。(同2件)
  • 資料は非常に見やすく、わかりやすくまとめられており良かった。(同3件)
  • 放射線についてこれからも学習してみたいと思いましたし、この後の研究、そして報告を期待しています。(同3件)
  • 新しい発見ができた。参考になり、勉強にもなりました。

(2)好評な感想・意見(個別)

  • 放射線の生物影響の方は、資料も小出しにして提示し、とてもわかりやすかった。(同1件)
  • 農家のことはよく知らないので籾中トリチウムがどの時点で稲に入るのか、今日はとてもよくわかりました。
  • 低線量でも与える影響が良く分った。

(3)指摘を含む意見(全体)

  • 用語が専門的で難しかった。(同6件)
  • 基本的な用語からわかるように説明と資料をください。(同2件)
  • 放射線の生物影響について、低線量率とはいえ、20mGy/22時間という福島県の問題とかけ離れた高い線量率でこのような研究を行って、果たして、社会的に意義あることなのか?と思いました。
  • この分野の先行研究の有無、有の場合の今回との事について教えて欲しかった。
  • 解説の方の説明はことばがはっきりしなかったり、声が低かったりでよくわからなかった。(同2件)
  • これまでの研究項目の紹介もしていただきたい。
  • 発表者、講師の経歴、略歴等の紹介(分野研究歴)もしてほしい。

(4)指摘を含む意見(個別)

  • 第二部は、低線量率放射線生物影響は少々難しかった。自分の不勉強が身に沁みました。
  • 白血病についてよくわからなかった。
  • 籾とか米のことでしょうが、私達には関係ないことを聞いた。

(5)その他

  • 自然科学への関心が、講演を聴くごとに増して行くと感じます。(小生、これまでほとんど社会科学へ心を寄せています)貴研究所で、何人程の職員が従事されているか、関心あり、知りたいです。来年度の発表時にお話し頂ければ有難いです。
  • 原発は必要だと思いますのでよろしくお願いします。
  • 南相馬市に2人の姪が暮らしていて、1人甲状腺がひっかかっています。どうにもなりませんが、これからも研究を宜しくお願い致します。
  • 放射線元素の種類により人体への影響度合いは異なるのか?例えばトリチウムは原子力施設から排出される特徴的なものであるが、量的には少なく、内部被ばくへの影響度も小さいと思われるため、他の放射性元素の影響度もどうなのか知りたい。
  • 放射性の規制限度値800ベクレル(?)などの数値は妥当なのか。
  • 放射線の発がんへの影響が心配ですが、日常生活で何に注意していったらよいものだろうか?
  • 玄米には白米より諸に栄養が含まれていると考えて、なるべく玄米を食すようにしておりましたが、炭素やトリチウムも除去できないということを知り、玄米を取らない方が良いのではないかと思い、考えさせられるものがありました。(同1件)
  • 一言で言えば放射線は大変こわいものですね。国は口を閉めてるし、うそついてるし、風化しそうでこわい。今日は聞けて良かったです。

お問い合わせ

(公財)環境科学技術研究所 総務部 企画・広報課

環境科学技術研究所は、六ヶ所村で放射線や放射性物質の環境中における分布や動き、及び低線量率放射線が生物に及ぼす影響に関する調査研究を行っている研究所です。

【電話】0175-71-1240 (受付時間 平日8:30~17:15)
【住所】〒039-3212 青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字家ノ前1番7

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