再処理工場から排出される放射性物質(トリチウム、放射性炭素、ヨウ素129及びクリプトン85等)の大気、陸域、陸水、沿岸海域といった環境中での移行や蓄積、及びヒトが摂取する食品・日常食の放射性物質濃度変動の実態について調査を行っています。それぞれの調査で得られたデータから、これまでに構築した総合的環境移行・線量評価モデルを用いて、実態に即した被ばく線量評価を行います。
再処理工場の本格操業にあたり、大気排出される放射性物質の大気中濃度や降下量変化、濃度分布等の測定を行います。また、測定地点を再処理工場周辺及び弘前市とし、両者の比較から再処理工場の影響の評価を行います。
さらに、再処理工場東側の環境科学技術研究所構内における空間ガンマ線線量率を測定するとともにクリプトン85に起因する線量率の増加を推定します。加えて、地上気象及び高度別の風況などを測定し、排出される放射性物質の動きを正確に評価します。
取得する環境試料
再処理工場から大気中に排出される放射性物質は陸域の土壌や植物に沈着することから、立地する六ヶ所村周辺地域における土壌、植物試料中の放射性物質濃度や蓄積量の地域分布を調査し、工場由来の放射性物質の影響の評価を行います。
また、環境研構内に整備した圃場において農作物を実際に栽培・収穫し、工場由来の放射性物質の大気から土壌・作物への移行を評価します。さらに、工場から排出されるHT型トリチウムについては、生物に吸収されやすいHTO(トリチウム水)に酸化されて土壌、作物に移行しますが、その酸化速度は不明な点が多く、その移行プロセスを明らかにするための調査を行っています。
再処理工場周辺で採取した環境水(河川水、地下水及び湖沼水)、湖底堆積物、湖沼に生息する水生生物(ヌマエビ、ウキゴリ、ワカサギ、アマモ及びカキ等)といった環境試料中の放射性物質濃度を測定し、再処理工場由来の放射性物質の影響を評価します。
再処理工場の海洋放出口が位置する沿岸海域周辺で採取した、海水、海底堆積物及び水生生物(カレイ等)といった環境試料中の放射性物質濃度を測定し、再処理工場由来の放射性物質の影響を評価します。
六ヶ所村及び青森市の一般市民を対象に、日常食中の工場由来の放射性物質濃度について調査を行うとともに、六ヶ所村及び周辺地域で生産された農畜水産物中の放射性物質濃度について調査を行っています。
農畜水産物サンプル採取
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