図3.1

環境影響調査

再処理工場から排出される放射性物質の環境中での動きやそれらによる現実的な被ばく線量を推定するため、立地する六ヶ所村の特性や自然条件を考慮した、総合的環境移行・線量評価モデル(以下、総合モデル)を構築しています。 その一環として、総合モデルの高度化や検証のための調査及び予測精度向上を目的とした環境移行パラメータの取得や人体内代謝モデル構築などのサブモデル構築に関する調査も行っています。

また、環境生態系を対象とする影響評価手法の開発や放射性物質の移行低減化に関する調査も行っています。

総合モデルの高度化と検証

図1.1 これまでに構築した総合モデルの高度化を図るため、六ヶ所村周辺地域の放射性核種濃度や地表面沈着量等の実測値をデータ同化する機能の追加や、これまでの調査で得られたパラメータの導入、気象データをオンラインで入手しモデルへ導入する機能などの追加を行います。 また、再処理工場から排出される放射性物質の各種環境試料中濃度を調査し総合モデルの検証やパラメータの最適化を行っています。

環境移行パラメータの取得及びサブモデル構築に関する調査

図1.2 総合モデルの予測精度を向上させるため、内部被ばく線量への寄与が比較的大きい放射性炭素、トリチウム及び放射性ヨウ素、並びに異常排出時に重要である放射性のセシウムやストロンチウムに関する環境移行パラメータの取得やサブモデル構築を行っています。

図1.3

環境生態系の被ばく線量評価法の開発

図1.4 従来、放射性物質や放射線からの防護の対象は人間のみであり、環境は放射性物質の移行経路としてのみ扱われてきました。 しかし、近年ではその経路上にある生態系についても防護の対象とすべきとされており、再処理工場周辺の動植物を対象とした調査を行ってきました。

過去に発生した原子力関連施設の事故では、針葉樹林に影響が見られた事例があり、針葉樹の放射線感受性は比較的高いとされています。 そこで再処理工場周辺に広く生育するクロマツを対象に調査を行っています。

環境影響の低減化に関する調査

再処理工場から排出される放射性物質は周辺地域の土壌に沈着した後、農産物に取り込まれるため、過去に行われた大気中核実験や原子力関連施設の事故などにより放出された放射性物質の土壌から植物への移行に関するパラメータ取得、特定の放射性物質を集積する植物の選定について調査を行ってきました。

東京電力福島第一原子力発電所事故後、放射性物質の農作物への移行を低減化する技術開発の重要性が認識されています。 しかし、土壌や作物の種類により、低減化の効果が異なることが知られていることから、牧草やイネを対象に、青森県の地域に適した移行低減化に関する調査を行っています。