排出放射性物質影響調査

用語解説

SPF(エスピーエフ)

SPFとはSpecific Pathogen Freeの頭文字をとった略語であり、「特定の病原体がいない」という状態を意味します。病原体とは病気や感染症を引き起こす微生物のことをいい、大きく分けて以下の5つのグループに分類されています。

  1. 人獣共通感染症を引き起こす微生物
  2. 伝染力が強く動物を致死させる恐れがある微生物
  3. 致死させることはないが発病あるいは不顕性感染を引き起こす微生物
  4. 日和見病原体(健康な動物では発病しないが、宿主の抵抗力の低下によって発病する可能性がある微生物)
  5. 通常は病原性はないが飼育環境の指標になる微生物

実験に使用する動物の飼育管理では、例えば上記の1の病原体だけを指定する、あるいは上記全ての病原体を指定するなど実験内容に応じて様々なレベルのSPFを維持する場合があります。このようなSPFを維持するためには、病原体に感染しないように厳しい防疫体制をとることが必要であり、多くの手間とコストがかかります。

画像:SPF:特定の病原体が「いない状態」の図解

低線量率・低線量放射線の生物への影響を調べるために動物実験を行う場合、その観察される影響はかなり小さいことが想定されます。もしSPFを維持しなかった場合、病気を発症する確率が上がる、あるいは病気が発生しないように薬剤を投与する必要が生じるため、小さいと想定される放射線の影響を検出することは不可能です。

そこで排出放射性物質影響調査で行われている低線量放射線の生物影響に関する調査では、実験に使用するマウスについて上記全てのグループの病原体を対象としたSPFを維持し実験を行っています。

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