排出放射性物質影響調査

用語解説

ヨウ素

ヨウ素(I)という元素は、原子番号53番の元素です。ヨウ素には数多くの同位体が存在していますが、安定同位体はヨウ素127の1種類のみです。また以下に示したとおり代表的な放射性同位体として、ヨウ素129、131、133が挙げられます。

画像:要素の種類

放射性ヨウ素は、原子力発電の燃料であるウランの核分裂反応の際にできる放射性物質として代表的なものの一つです。ヨウ素131やヨウ素133は原子炉停止直後には核燃料中に多く蓄積していますが、半減期がそれぞれ約8日および約21時間と短いため再処理工場で使用済燃料が処理されるまでにはほとんど無くなります。しかし、ヨウ素129は半減期が1570万年と非常に長寿命であるため使用済み燃料の処理時にも残っています。なお、超ウラン元素の自発核分裂などのために、ヨウ素131などが使用済燃料中でわずかに生成されます。

ヨウ素129はベータ線とガンマ線を出して、安定な元素であるキセノン129へと変化します。

画像:要素129からキセノン129への変化

また、ヨウ素131はベータ線とガンマ線を放出して、安定なキセノン131に変化します。

画像:要素131からキセノン131への変化

ヨウ素は人間が生きていくために必要不可欠な元素です。人体内では喉部分にある甲状腺に集まる性質があり、そこで作られる甲状腺ホルモンという物質を構成する元素となります。ヨウ素129や131はごくわずかですが天然のものが存在し、またヨウ素129は、過去に行われた大気中核実験などにより環境中に存在しているものもありますので、飲食物を通じて人間が摂取し、それらから放出される放射線によってわずかな量ですが被ばくをしています。

核分裂の際に発生した放射性ヨウ素は原子力発電所では燃料棒内に閉じ込められていますが、再処理工場では燃料棒が切断されるので処理設備内に出てきます。フィルターなどで大部分は取り除いていますがそれでも取り切れないものは気体廃棄物、液体廃棄物として環境中に排出されます。

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