本成果報告会は、排出放射性物質影響調査を受託している公益財団法人環境科学技術研究所の主催で行われました。
環境科学技術研究所の小野理事長の開会挨拶の後、同所の企画・広報課課長の石川敏夫から、成果報告に先立ち、放射線の単位や影響に関する基礎的な説明がなされました
成果報告は、前半に環境中での放射性物質の動きに関する研究成果について環境研の環境影響研究部から、後半に放射線生物影響研究について環境研の生物影響研究部から研究成果が報告されました。
前半の環境科学技術研究所環境影響研究部の発表では、空気中トリチウムのイネへの移行に関する調査結果が報告がされました。
久松理事(環境影響研究部長)からは冒頭に、再処理工場から排出されるトリチウムがわずかではあるがイネに取り込まれ、お米として人間に取り込まれる可能性があるため、トリチウムのイネへの移行について調べていることが紹介されました。続いてトリチウムの基本的な性質やトリチウムから出る放射線とその被ばくに関して説明があり、トリチウムから出る放射線は非常に弱いベータ線であるため、体外にある時には被ばくについてほとんど考える必要はないが体内に入った時は考慮する必要があること、トリチウムが水として体内に入った場合と有機物として入った場合で被ばく線量が大きく違う事が説明されました。その後、谷研究員から、イネに対してトリチウムの代わりに重水素を取り込ませる実験を行い、イネ中のトリチウム移行モデルを作成した結果が報告されました。イネの場合、例えば出穂時(お米ができ始める時期)の前後といった生育段階のどの時期に重水素を取り込ませるかで収穫時の籾中のトリチウム濃度が異なることが紹介され、空気中トリチウム濃度の変化に対応したイネ体内トリチウム濃度の予測が可能な計算モデルを作成したことについて報告がありました。
後半の環境科学技術研究所生物影響研究部の発表では、マウス造血細胞への低線量率放射線の影響と題し、放射線と白血病に関する報告がされました。
小村生物影響研究部長からは、環境研が進める低線量率放射線の生物影響研究の概要について説明の後、白血病に関しては高線量率放射線を被ばくした原爆被爆者などの調査結果から白血病が早期に発生する事が知られていることが説明されました。その後、廣内研究員からは、低・中・高線量率放射線をマウスに照射し、発生した白血病の調査を行った結果について報告がされました。その結果、線量率が高くなるほど発症時期が早くなること、低線量率放射線と高線量率放射線では白血病を引き起こす機構に違いがある可能性があることが報告されました。
開催情報入手方法
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(公財)環境科学技術研究所 総務部 企画・広報課
環境科学技術研究所は、六ヶ所村で放射線や放射性物質の環境中における分布や動き、及び低線量率放射線が生物に及ぼす影響に関する調査研究を行っている研究所です。
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