排出放射性物質影響調査

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平成27年度 成果報告会 八戸市開催報告

平成27年度環境科学セミナー「知って納得、放射線!」

日時・会場

  • 日時:平成27年11月4日(金) 13:30~16:00
  • 場所:ユートリー(八戸地域地場産業振興センター) 1階多目的大ホールA
  • 参加者:101名

実施内容

本成果報告会は、環境科学セミナー「知って納得、放射線」と題し、青森県及び排出放射性物質影響調査を受託している公益財団法人環境科学技術研究所との共催で行われました。

本セミナーは、第一部では放射線に関する講演や著書で有名な東京大学医学部の中川恵一氏より「放射線と暮らしを考える」と題して放射線によるがんに関して生活習慣によるがんと比較しながらご講演頂き、第二部では環境科学技術研究所の成果報告を行いました。

環境科学セミナーの様子

第一部 「放射線と暮らしを考える」

第一部の中川氏の講演では、福島での支援の経験や、病院において放射線を用いたがん治療を行ってきた経験を交え、放射線によるがんに関して生活習慣によるがんと比較しながら以下のようなお話をされました。

がんの原因の3分の2近くは、たばこ、大量飲酒、運動不足や肥満、やせ過ぎ、野菜不足などの生活習慣によるものです。今回の福島県で起こった原子力発電所の事故により避難した住民の方が多くいらっしゃいましたが、多くの方が不活発な状態となり、肥満、糖尿病、高血圧等の生活習慣病が増加しています。そうなると、例えば、糖尿病になるとがんは2割増えるので、福島ではおそらく10年後にがんが増えてしまう事態も起こると考えられます。生活可能である地域の放射線量は低線量放射線であり、その被ばくの影響があるとすれば、がんの発生する確率が上がるだけです。しかし、そのがんを避けるための避難が生活習慣を悪化させ、結果的にがんを増やしてしまう事態になっています。例えばチェルノブイリでは、強制移住を無視して勝手に故郷に帰った人たちの平均寿命は、避難を続けた人たちよりも6歳長生きだったと報告もあり、生活習慣の変化が健康に与える影響が大きいことが考えられます。

また、甲状腺がんについても話題になっていますが、甲状腺かんは60歳代の人は全員が持っていて若い世代でも珍しくなく、子どもたちの甲状腺がんは大きくならない、あるいは自然消滅するものがほとんどです。福島県での大がかりな調査によって見出されている小児甲状腺がんは、元々あるものを見つけているだけで、過剰診断の結果であると考えられます。

中川先生はこのような話をされ、最後に、放射線とがんを正しく知って、今後の暮らしに役立てていただきたいと、まとめられました。

第二部 環境科学技術研究所 成果報告

第二部の内容に関しては青森市での開催と同様になります。(→青森市開催報告参照)

以下に開催時の写真を掲載します。

久松理事 環境影響研究部長 講演の様子
久松理事 環境影響研究部長 講演の様子
谷研究員 講演の様子
谷研究員 講演の様子
小村生物影響研究部長 講演の様子
小村生物影響研究部長 講演の様子
廣内研究員 講演の様子
廣内研究員 講演の様子

アンケート結果

1.参加者について

参加者 101名
回答数 71名  回収率 70% (内訳:男性 46名/女性 25名/無記載 0名)
年齢層
年齢層
過去の報告会参加の有無
過去の報告会参加の有無

2.本報告会を何でお知りになりましたか?

グラフ:開催情報入手方法

開催情報入手方法

3.講演内容について

トリチウムのイネへの移行
トリチウムのイネへの移行
放射線の生物影響
放射線の生物影響

4.講演資料について

トリチウムのイネへの移行
トリチウムのイネへの移行
放射線の生物影響
放射線の生物影響

5.ご意見、ご感想

(1)好評な感想・意見(全体)

  • 内容がすばらしかった。今後も続けてほしい。(同1件)
  • 知識がなかったのですが、点から線に少しずつ連なって理解できたように思います。資料を見て復習したいと思います。現在の地球環境がどうなっているのかどのようなことに気をつけなければならないのか、いろいろ勉強になりました。ありがとうございました。
  • 研究成果報告は少し難しかったが、予想外に興味深く聞くことができた。
  • 研究の課題に対する説明が良かった。
  • 次回報告会があればぜひ参加したい。
  • 日常生活に於ける放射線の存在について概ね解り良かった。
  • このような専門的研究者の講演をわかりやすく聴講でき大変良かった。福島の事故は他人事ではなく、大間原発、六ヶ所原燃を有する我が県では恐ろしさも心配も不安も多大である。それ故、このような研修はもっと多面的に多数必要であろう。

(2)指摘を含む意見(全体)

  • 素人には難しい内容でした。(同1件)
  • 学会発表ではないので、簡単にわかりやすく説明してほしかった。
  • 内容自体が難しいので、資料でもう少し初心者向けのフォロー(分かりやすく図化する等)があったら良かった。
  • 内容よりも、お二人ともお話の仕方(早口、スライドに盛り込みすぎ、ポインタの動き)が気になりました。
  • 最初に、簡単にでも環境研の全体の役割を知りたいと思いました。
  • 「理解してもらう」との意図が過小。研究している専門内容をわかりやすく伝えるのが専門家であろう。今回の会の意義を理解していないのではないか。
  • 昨年度より資料がややこしくて分からない。

(3)指摘を含む意見(個別)

  • トリチウムは専門性がありすぎた。(同1件)
  • 白血病のメカニズムは難しかったです。(同1件)
  • ネズミの実験結果ともっと大きな個体動物では、また違ってくるのではないでしょうか?
  • 中川先生は1300mSv以上で発がんリスクが高くなるとおっしゃっていましたが、マウスでは8000mGyで実験されているのでどのように比較すれば良いか理解できません。資料はよく理解できました。

(4)その他

  • 中川先生のお話はとてもよかったです。(同3件)
  • がんという病気の意識が変わった。(同1件)
  • 放射線の被曝量だけを考えていたが、それだけでなく生活習慣やストレスなどの影響が大きいことがわかった。(同1件)
  • まじめに、厳密に対処した「福島の勝利」という、中川先生の言葉を聞けて良かったです。
  • 質問をさえぎるような雰囲気があり、残念でした。司会者が時間もさることながら中川先生であれば「十分受けて立てる」のにと感じました。十和田市の農家の発言は極端で残念でした。
  • ウソはいけない。そして否定したからと打ち切らずに話すべきと思う。昨年も参加しても案内状は届きませんが、他様は一度講演に参加するとはがきが届き知ります。案内状を送るのは、特別な方で、一般の場合は送っていただけないものでしょうか。また、送ってきたはがきは通常確認するだけで、回収される理由がわかりません。
  • 司会者の質問者を封じ込める意図丸出しの進行はひどい。県民の善意を逆なでしないでほしい。東京都が引き受けるならもっていけ。貴殿の居住地にもっていってほしい。
  • 福島原発に関して、公表してはならないという事もあるのではないかと思ったりもした。
  • 開演を13:00からにしてほしい。
  • 研究発表の機会がもっと多くあってもよいと思う。

お問い合わせ

(公財)環境科学技術研究所 総務部 企画・広報課

環境科学技術研究所は、六ヶ所村で放射線や放射性物質の環境中における分布や動き、及び低線量率放射線が生物に及ぼす影響に関する調査研究を行っている研究所です。

【電話】0175-71-1240 (受付時間 平日8:30~17:15)
【住所】〒039-3212 青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字家ノ前1番7

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