本成果報告会は、環境科学セミナー「知って納得、放射線」と題し、青森県及び排出放射性物質影響調査を受託している公益財団法人環境科学技術研究所との共催で行われました。
本セミナーは、第一部では放射線に関する講演や著書で有名な東京大学医学部の中川恵一氏より「放射線と暮らしを考える」と題して放射線によるがんに関して生活習慣によるがんと比較しながらご講演頂き、第二部では環境科学技術研究所の成果報告を行いました。
第一部の中川氏の講演では、福島での支援の経験や、病院において放射線を用いたがん治療を行ってきた経験を交え、放射線によるがんに関して生活習慣によるがんと比較しながら以下のようなお話をされました。
がんの原因の3分の2近くは、たばこ、大量飲酒、運動不足や肥満、やせ過ぎ、野菜不足などの生活習慣によるものです。今回の福島県で起こった原子力発電所の事故により避難した住民の方が多くいらっしゃいましたが、多くの方が不活発な状態となり、肥満、糖尿病、高血圧等の生活習慣病が増加しています。そうなると、例えば、糖尿病になるとがんは2割増えるので、福島ではおそらく10年後にがんが増えてしまう事態も起こると考えられます。生活可能である地域の放射線量は低線量放射線であり、その被ばくの影響があるとすれば、がんの発生する確率が上がるだけです。しかし、そのがんを避けるための避難が生活習慣を悪化させ、結果的にがんを増やしてしまう事態になっています。例えばチェルノブイリでは、強制移住を無視して勝手に故郷に帰った人たちの平均寿命は、避難を続けた人たちよりも6歳長生きだったと報告もあり、生活習慣の変化が健康に与える影響が大きいことが考えられます。
また、甲状腺がんについても話題になっていますが、甲状腺かんは60歳代の人は全員が持っていて若い世代でも珍しくなく、子どもたちの甲状腺がんは大きくならない、あるいは自然消滅するものがほとんどです。福島県での大がかりな調査によって見出されている小児甲状腺がんは、元々あるものを見つけているだけで、過剰診断の結果であると考えられます。
中川先生はこのような話をされ、最後に、放射線とがんを正しく知って、今後の暮らしに役立てていただきたいと、まとめられました。
第二部の内容に関しては青森市での開催と同様になります。(→青森市開催報告参照)
以下に開催時の写真を掲載します。
開催情報入手方法
(1)好評な感想・意見(全体)
(2)指摘を含む意見(全体)
(3)指摘を含む意見(個別)
(4)その他
(公財)環境科学技術研究所 総務部 企画・広報課
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